重ねて言う、この漫画がすごい。濡れ場の臨場感なにこれ、すごすぎると言葉が出ないって本当なんだ。
そうも言っていられないからすごい点を語るが、この行為、そうそうこの角度で見たかった、なぜにこの角度が見たいとご存じなのか、そう聞きたくなるほど、痒いところに手が届く視点から見せてくれるのだ。カメラワークが絶妙なのよ。
今作一番の見せ場である黒岩と岸辺が初めて下の名前を呼び合うシーン、これからはじまる行為がどのようなものであるかを宣言した岸辺に圧倒され、推せるが確定した読者は多いと思う。そこから頭側→下→頭側とアングル移動、舐めるように二人の濡れ場を見せつつ、歓喜に満ちた支配欲まるだしの岸辺の表情。執着歴20年、四半世紀近く積み立てた欲望が成就する狂熱をここまで念入りに描かれたら、そりゃあーたR18にもなりますって。
私は漫画家に必要なのは空間把握能力と構図力思っている。生来のセンスもあるかもしれないが、昼寝先生は高い画力に加えてデザインや構図についても高いテクニックをお持ちだと感じた。「見せる」ことを心得ていると言うべきか、漫画それ自体を相当勉強されておられる印象を受けた。どちらかと言えば、男性的な脳をお持ちなのかもしれない。エロいからではない。いやエロいんだけど、濡れ場にしろ日常にしろ、遠近を持たせて空間を多角的にとらえていたり、何らかの動きを常に持たせたコマはこびをしていたりするのは女性脳より男性脳が得意とするところなので、そうかなあと考えた次第。おそらくアクション漫画を描かれてもお上手だと思う。絶対書かないだろうけれども。
高い画力に加え、変質者ほど推せるというBL業界、岸辺の重すぎる愛が最高だった。人生の大半を黒岩攻め落としの準備に費やした岸辺が、黒岩を癒すという揺るがない信念をもって、そんじょそこらのしつこい野郎とは違う格の違いを見せてくれた。用意周到に黒岩を手中に収めようとしているキ〇ガイぶりを、^▽^←コレ で帳消しにしてくるのほんと好き笑
実はこの作品、何かのついででたまたま目についたから手に取っただけなのだが、その目当ての本より数百倍もハマってしまったという大当たり本。リビドー全開の濃厚な濡れ場に悶絶した。