βを愛し、αとΩが引かれ合うオメガバースはおなかいっぱいと思っている私だが、早寝先生となれば話は別である。
泣いた。結果にコミットした。先生、どんだけロマンスの神様なのですか。
タイトルの意味を理解したとき、あまりの切実さに涙がでた。設定上、性的なニュアンスが濃くなりがちなオメガバで、もちろん自分ではどうにもならない発情やフェロモンについてもちゃんと描かれているんだけど、解釈する人によってこうも表現が異なるのかと。なんかね、文学的なのよ。
バース性で判断されることに違和感を抱いていた清成（α）と、不可抗力な生理現象を受け入れながらも、認めきれない白根（Ω）、高校のとき同級生だった二人が大人になってから再会し、思いを通じ合っていく再会オメガバBL。一言で説明するとそうなのだけど、そうなのだけど、そんな一言で片づけたくない重みがあった。彼らの本音には、現実にバース世界があったならどうなるのか、それを想像させる説得力があったんだ。心を強く持ちたいと願う白根にひどく共感したし、白根の孤独に寄り添い、分かち合おうとした清成の誠実さに胸をうたれた。清成がね、マジでできた男なんだわ。巣作りがαのためなんて天才的思考おばちゃん持っていなかった。どこまでも白根ファーストな考え方に、オメガバの夜明けを見た気がする。
すべてが思いやりに満ちていて、ページのはしばしから早寝先生のやさしさが伝わってくる素敵な物語だった。先生はオメガバの設定を見て、不憫な扱いを受けることが多いΩを救いたいと思われたのかもしれない。エッッッッな激しさはないものの、αがΩを求める情熱はこれでもかと伝わってくるから、もちろんめっちゃ抜けた。そして、「52ヘルツの共振」に込められた深い意味にあらためて萌え震えるのであった。
