pu-log’s diary

たくさんの物語と出会うことを今年の目標とする。

今日のBL:「蛍火艶夜」amase

雨瀬シオリさんの初商業BL。そうだよね、男所帯だもの、こういうことがないほうが不自然。
蛍火艶夜 上巻 (バンチコミックス)
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↑絶対にうす消し版を買いましょう。倍の値段払う価値ありまする。
 
最近はBL買っても1回読んで終わることの多い私が、毎日毎日繰り返し読んでしまうほどはまりました。明日死ぬかもしれない二人が愛し合うなんてラブロマンスが描かれているわけではなく、どちらかというと若さゆえの情欲ありきで、現実の場面を想像するほど痛くて汚なくて刹那的な話です。でも、BL史に残る名作であると断言します。

あの雨瀬先生が書くBL、今までの作品を振り返れば甘々になどなるわけないことは自明の理ですが、それでも想像の上の上をいく熱量で描かれていて、濃度がめちゃくちゃ高い。ここまで迫真に迫るBLなかなかないです。なんかね、実在した彼らをタイムマシンで見てきたのではないかと思うくらい、人物像がリアルなの。特攻隊に選ばれるのて若い人たちだったじゃない。仲間と無邪気にたわむれたり、先輩が特攻する姿に憧れたり、死の恐怖に震えたりする年相応の姿に作りこまれたところがなくて、違和感がまったくないの。二人がそういう関係になる流れもとても自然でね、「いやちょヤリたいからとはいえ唐突すぎね?」ということもなく、すんなり受け入れることができました。
 
そんな物語の深みに呼応して描かれる交尾がまたすんごいんだ。読み始めたときはね、もともと普通紙の作家さんだし本番それ自体は曖昧に書かれているんだろうなあ、などとタカをくくっておりました。とんでもない。命の灯を燃やすがごとく必死に求め合う姿が細部まで緻密に描かれおり、ご立派にびーんとなっている血管バキバキち〇こに私は息を飲みましたよ。
 
さて、収録されているのは二組のカップルなのですが、私はメインであろう八木さんと志津摩エピソードより、橋内中尉と塚本くんエピを推します。乱暴に突っ込まれることしかされてこなかった橋内中尉が、塚本の丁寧な前戯で前後の見境なく乱れまくる。それに加えて同情と快楽からはじまった二人の気持ちが恋のようなものへと移り変わっていく様子が、すごく少女漫画していていいんですわ。重い話なんだけどコミカルでね、ちょいちょい回想で出てくる後家のトシ子さんも大好きになりました。

楽しい二人の話をもっともっと見たかったけれど、特攻隊で別れがあるのは必然。出撃を告げる特攻機のエンジン音と、プロペラが巻き起こす風の中、橋内中尉から塚本へ送られる親愛の証、何てドラマティックなのでしょう。まあこれにもちゃんと伏線があってね、だからこそ感無量なのよ。読後感はとてもさわやかで、特攻に向かう和さんと同じく晴れ晴れとした気持ちの中、読み終えることができました。 おまけのifもすばらしくてね、しばらく夢想して楽しんじゃいましたよ。ちなみに二人の関係性は年下×年上、部下×上司、後輩×先輩です。
 
八木さんと志津摩の話は、塚×橋に比べるとあまり心を動かされませんでした。八木のさみしさに共感できなかったからかもしれません。でも、書きおろしが伏線になっているかもしれないし、下巻に期待しています。第1話のリリース速報が入ってきたのが2022/8/15。1年たって上巻発売、てことは下巻は2024年か。待ち遠しいな。
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