pu-log’s diary

たくさんの物語と出会うことを今年の目標とする。

今日の一冊:「臨場」横山秀夫

今日の一冊などと言いながら読書の時間がまったくとれていない。ひとり暮らしをはじめて余裕がないと感じたことはないけれど、少なからず自由時間が減っているあらわれか。お昼休憩の時間にちょっとずつ読み進めて、久しぶりにまるまる一冊読了できた。安心と信頼の横山秀夫の警察モノは、やっぱりおもしろい。

臨場 (光文社文庫)

検視官・倉石のズバ抜けた観察眼で事件の真相が明かされていくオムニバスドラマ。倉石は男が憧れる男と言うのだろうか、組織に頭を垂れない一匹狼、ぶっきらぼうで言葉少なく、どんな相手も実力と行動で黙らせるタイプ、表には出さないけれど情に厚く、彼を慕う後輩があとをたたない・・・ちょ何この人間離れしたスペック笑 もし、こんなミスターパーフェクトがいたら上司は心中複雑でしょうな。懐の深さまで計測されちゃう気がして、神経細い人は胃を病むんじゃないかしら。

ミステリとしては、事件解決の糸口に五感が関係する話がいくつかあって、映像のほうがより楽しめるだろうと思った。内野聖陽主演のドラマは人気だったようだし。見てみたいけれど、書籍の倉石は細身のヤクザ顔という設定だし受け入れられないかも。

それにしても、この作者の女性像は昭和から進むことがないんかいな。どの作品読んでも女性の事件には男性が関係していて、捨てられて泣き、性欲のはけ口にされて泣き、結婚できなくて泣く。警察が男社会であるのは理解するが、だからといって女が弱いってのもそろそろおなかいっぱいである。

ノリの軽い現代風な人妻が出てきた話もあったよ。新聞記者のカモフラージュとして同行している最中に事件発生。そうしたら頭脳がF1スピードで回転しだして、入手した情報をするどく解析、ズバズバ謎ときをし始めるのだ。しかも、そんな女性が一人じゃない。泣くか金田一かの二択て、幅ふりすぎです先生。

内容は経年を感じなかったが、人物像はさすがに賞味期限がきれていたってことで。