pu-log’s diary

たくさんの物語と出会うことを今年の目標とする。

今日の一冊:「拝み屋怪談 幽魂の蔵」郷内心瞳

拝み屋怪談 幽魂の蔵 (角川ホラー文庫)

さて、何作目かの郷内心瞳である。霊能力の枯渇が描かれていたのは「拝み屋備忘録 怪談火だるま乙女(2021/07/29)」だっけ。それより前の2020/6/12に発刊された本。

長編は母屋だった家を改築した蔵の中で、異形を見たという家族からの依頼。幕間の短話は蔵の中で怪異を呼び込むために行う百物語として語られていく。早い段階から蔵の中にこもり、あってもなくてもいい章が多くを占めていた今作のメインストーリー。ネタ切れなのか、アイデアの枯渇なのか、尺伸ばしにしても、もうちょっとやりようがあったのではないかしら。。。

郷内ホラーの強みは、拝み屋という職業柄体験した実話や見聞きした怪異を小説化することによる現実味だと私は思うのだが、「壊れた母様の家」あたりから郷内さんのキャラが芝居がかっちゃって失われたよね、リアリティが。怖いとかつまらないとか、何がしかの感情が残るでもなし、すーんと読み終えた。初期作品が最怖すぎて、この人の作品を手に取るときはどうしても期待過多になりがちだ。文章力あるから読ませてくれるし内容としては悪くないけど、辛口になってしまうのわかってくれる? 

よかったエピソードは「備品」。あるさびれたホテルに泊まったとき遭遇した怪奇現象はちょっと怖かった、いや、最近のなまっちょろ傾向からすればだいぶ怖い話だった。仏教辞典の使い方も目から鱗で参考になった。投げるのもアリなんだ笑