pu-log’s diary

たくさんの物語と出会うことを今年の目標とする。

今日の一冊:「オズの魔法使い」ライマン・フランク・ボーム

20180228の記録
オズの魔法使い (角川文庫)
児童文学は文章を読む楽しさを思い出すのに最適な書籍。少年ジャンプの編集部コラムで創作のお手本として児童文学を勧めていたくらい、大人でも楽しめる良書がたくさんそろっている。子どもに読んでもらいたい作品ばかりだから読みやすく、文体も美しい。私は難しい小説を読んだあと、骨休めをしたいとき手に取ることが多い。

今回選んだのは「オズの魔法使い」。トト(飼い犬)の存在を忘れてしまうくらい昔に読んだきりで、読み返すのは初めてかもしれない。銀の靴、黄色いレンガの道、エメラルドの都、こまかい情景描写を読むうちに昔見た映画の映像が重なり、いつの間にかオズの世界を旅していた。「リターン・トゥ・オズ」DVD化してほしい。

数十年ぶりに訪れたオズは不思議がいっぱいで、ワクワクしたりドキドキしたりの大冒険だった。でもね、悲しいかな、もう子どもと同じ目線では読めないことを悟ってしまった。私はもう、腐ったリンゴのミカンになったんだ。こんなに素敵な物語なのに、細かい部分が気になっちゃうのよ。

たとえばね、どんな生きものも傷つけないよう気を使っている、動物愛護の心を持った紳士・ブリキの木こり。道をはっていたカブトムシさんに気付かず踏んで死なせてしまったことを悔やみ、悲しみと後悔の涙を流して体がさびてしまうほど慈しみの心をもった人なの。

それがね、ケシ畑で野ネズミが襲われているところに遭遇したとき、襲っていたヤマネコの首を一刀両断したり、西の国の悪い魔女を退治しに行く途中であらわれた狼軍団を返り討ちにして屍の山を築いたりするの。

うーんと、確かに戦わないと乗り切れない場面だったけれど、どんな生きものも傷つけない設定どこいった。しかも、ほぼ首を落として確実にしとめている。そんなんされたら少年マンガでも生き返り不可能じゃないですか。命を奪うまでしなくても設定を鑑みてみねうちにとどめていただくことはできなかったのだろうか。

気にしたら負けと分かっていつつも気になって気になって、ああ、つまらない大人になってしまったんだな、と実感した次第。

ところどころツッコミつつも、上質なファンタジーであることは間違いない。世界観もとってもオシャレ。