pu-log’s diary

たくさんの物語と出会うことを今年の目標とする。

今日の一冊:「グラスホッパー」伊坂幸太郎

20160926の記録

夏のころ読むぞと決めた『グラスホッパー』、先日ようやく読了。はじめての伊坂作品、すらすら読めた。
グラスホッパー (角川文庫)
中心人物は鈴木、蝉、鯨の三人。同時進行で行動しているそれぞれが、最後に集結する構成で話が進んでいく。殺し屋が登場したり復讐や暴力的な描写があったり、明るい話ではないのに作中の雰囲気がまったく暗くなくて、むしろ軽快さを感じた。最初から映像化するのを見越して書いているのでは、と思ってしまうくらいエンターテイメント性もあって、伊坂幸太郎が支持されるのも納得。各章ごとに区切られているのも、スキマ時間で読むにはありがたかった。

要約すると、読みやすいは大正義。


以下、ネタバレあり。
疑問点、気になった点を忘れないよう残す。

・オカルト要素のはっきりした説明がない。結局、鯨は能力者だったのか。 
・蝉の最後があっけなさすぎて「実は生きていた」を期待した。
・最後、鯨は幻想の中で押し屋に負けたのだと思う。
・鯨と蝉がこれから活躍しそうと思ったとたん退場したのは残念。もっと見たかった。
・全体的に説明が少ないのはページ数の問題なのか、意図的なのか。
・消化不良が多くて、せっかくの個性的な登場人物や設定がもったいない気がした。

・岩西(蝉の仕事仲間)の言葉は生涯忘れない。※文庫P227

自殺する奴ってのが大嫌いなんだ。
人間だけだ、逃げるように死ぬのは。
どんなに酷い環境に置かれたって、動物は自分から死のうとしない。
自分たちが生き残るために、他の動物がどれだけ犠牲になったか知っているから。
人間は傲慢だよ。